お礼と今後について

ありがとうございました。

このカテゴリーを使うのも最後になりました。klovです。昨日の文学フリマにお越しいただいた方々、お疲れ様でした。終了間際の熱気は、文学フリマというイベントのターニングポイントとして後に語られるのでは、とさえ思えるものでした。
僕たち「筑波批評社」も、ゼロアカ道場道場破り組として、多くの方々に『筑波批評』を手に取っていただきました。本当にありがとうございました。
僕たちは今年5月の春の文学フリマに初めて同人誌を出展し、そのときは最新号80部、バックナンバー含め計180部程度が売れました。一種類の同人誌を100部以上売った事すらないサークルが、いきなり400部以上の売り上げをたたき出せたのは、「ゼロアカショック」とでも言うべき衝撃でした。多くの方々に言葉を届けられたのは非常に喜ばしいことですし、感謝しても感謝しきれない出来事だと思います。

ただしゼロアカ道場というイベントの中で見れば、事前の審査員による採点と実際の売り上げにギャップがあったのも事実です。僅差とはいえトータルで7位、必ずしも成功とは言えない数字、でしょう。「ゼロアカバブル」などと後から言われないよう、粛々と次の同人誌に向けてアップデートを図って行きたいと思います。

(追記:当日の様子については、シノハラがかなり細かいレポートを作ってくれました。
http://d.hatena.ne.jp/sakstyle/20081110/1226306662

このあとどうするの?

さてシノハラと塚田がブースに立ち、終盤、隣のフランス乞食の勢いに圧倒されながらも、必死に声を上げて売り子をしていた様子を、僕は横から見ていました。残り30分、上位2チームの通過がほぼ決定し、最後の椅子を巡る熱狂的な雰囲気に巻き込まれつつ、筑波批評社がその場にいるということの意味を考えながら。
懇親会後、つくばに戻りプチ反省会を行いました。色々と次につなげるべき事柄はあるのですが、たどり着くのはいつもの疑問。僕らだけではなく、周りの人々からもよく問われる、あの疑問。

筑波批評社は何をしたいのか?」

シノハラが筑波批評社を立ち上げてから、僕らは常にこの疑問と対峙し時に格闘し時に逃げてきた気がします。何故僕らは文章を書くのか。誰にどんな言葉を届けたいのか。
前回の08春号も、今回の08秋号も、それぞれのタイミングにおける筑波批評社なりの答えなのかなと思います。その未熟さも含めて。

以下は個人的な見解なので、筑波批評社のほかのメンバーとは相違があるかと思います。

10月19日の早稲田文学シンポジウムで、千野帽子氏が商業分野における書評についての不毛さ、「書きたい文章」を書かせてもらえない理不尽さについて話していました。そのとき僕が感じたのは、何故この人はそんなにつまらなそうに文章を書いているのだろう、ということでした。
何故貴方はその壇上(プロ)にいるのだ。観客席(アマチュア)の方に降りて来いよ、と。そうすりゃ好きなこと書けるのに。

筑波批評社というサークルの中で、僕らは何をしたいのか? 何故こんなことをしているのか?
単なる自意識の問題を超えて、より良い同人誌を作るためにこの問いに答える必要があるということを痛感できたのは、ゼロアカ道場に出たことによる収穫の一つかも知れません。

僕としては、「つまらなそうに文章書いている奴を笑う」ことなのかなと考えています。
文フリ後の懇親会で、シノハラが東氏に「数年後、他の人に『なぜあの時僕は筑波にいなかったんだろう。一緒にやってたかった。悔しい。』と思わせる仕事ができるよ」と言われていました。かなりお酒が入っていたので、東氏ご本人が覚えていらっしゃるかは分かりませんが、僕らはずっと忘れないでしょう。本当にそんなことができるか、何の保証もありませんが、つまりはそういうことをしたいのかな、と。批評という枠組みを通して、文章書くのって楽しいよ、なんでそんなつまんなそうなの? ということをパフォーマティブに表現したい。それは同人誌でしか出来ないことだと思います。

もちろん、「楽しいからやる」ことと「好きな文章をただ垂れ流す」ことが別なのは言うまでもないことで。むしろ同人誌だからこそより高いクオリティを目指す、くらいの勢いでやっていきたいのです。直近の課題としては、荻上氏から頂いた

http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20081104/p1
文脈メイク術やコンテンツ化力については「もう少し頑張りましょう」だけれど、個々のマテリアには素直に発見させられるところが多かったです。手に取って損はしないでしょう

ここら辺の問題を最優先課題にしつつ、次の同人誌に向けて色々動いていきたいなと思っています。何より今回の文フリで400部以上も自分たちの同人誌が「届いてしまった」以上、より良いものを作る責務が僕らには残るので。

こんな文章を書くとまた塚田に「信仰告白キモい!」とdisられそうですが(笑)、自戒、ということで勘弁してもらおうかなと思います。

今後も筑波批評社をよろしくお願いいたします。