『筑波批評2008秋』について

概要

ゼロアカとは一体何だったのか。
そして、ゼロアカの先へと進むために。

ゼロアカ道場破り号と銘打った今号の『筑波批評』は、いわゆる「ゼロアカ」と呼ばれる言説空間が、今現在あまりにも狭い領域にとどまっているのではないかという問題意識のもと、むしろゼロアカがより広がっていく可能性を示すべく編まれた。
掲載された論文はどれも、様々なジャンルへと種撒かれ、これから次々と芽吹くはずの、新しいアカデミズムと批評の萌芽たりうるはずだ。
筑波批評社、シノハラユウキ・塚田憲史による、「東浩紀ゼロアカ道場」第四関門への道場破り。
11月9日、秋葉原で開催される文学フリマにて発売!

目次

表紙

[:H200]

批判的工学主義とは何か――建築家・藤村龍至インタビュー

建築家・藤村龍至は、ショッピングセンターやタワーマンションといった現代の建築が置かれている工学主義的状況や、社会学者らの叫ぶ建築家不要論に対して、建築的思考や場所性の可能性を説く。
それはもちろん、作家のイマジネーションであったり、記号や物語の戯れを称揚するような退屈な議論では決してない。
建築が置かれている前提条件――データベースを読み込み、データベースへと介入し作り替えていく、批判的工学主義という、あくまでも実践・実務に基づいた思考である。

  • 関連エントリ

インタビューしてきた! - 筑波批評社
インタビュー先をちょこっとだけ公開するよ。 - 筑波批評社
藤村龍至インタビューについて - 筑波批評社
http://www.round-about.org/2008/10/post_71.html

アダルトヴィデオ的想像力をめぐる覚書――ゼロ年代的映画史講義・体験版

波状言論』からデビュー後、様々な文芸誌などで仕事している批評家、渡邊大輔による最新の映画史!
映画研究者として、ゼロ年代の日本映画がこれまでまったく言語化されてきていない状況に危機感を覚える渡邉は、「アダルトヴィデオ的想像力」が現代の日本映画に席巻していることを指摘する。
そしてそれは、いわゆる「セカイ系的想像力」ともつながりうるものである。ゼロ年代の想像力と2010年代の想像力を見通すためにも、決して無視することのできない論考となっている。

  • 関連エントリ

ゼロ年代の想像力×日本映画 - 筑波批評社

リアル入門――ネットと現実の臨界

パブリックコメントやシンポジウム活動を展開し続ける、MIAUの発起人の一人であり、半可思惟の管理人である、工藤郁子が、現在のネットが置かれている政治的状況について論じると共に、言葉を発する者たちに責任を持つ覚悟を問う。

  • 関連エントリ

inf.さんありがとう! - 筑波批評社
『筑波批評2008秋』に寄稿しました - 半可思惟
「リアル入門」の脚注 - 半可思惟

文芸批評家のためのLudology入門――<ゲーム>定義のパースペクティブ

著者はG&G,inc.blogの管理人である、高橋志行。社会学を学ぶ院生であると同時にゲーム研究者でもある彼が、ゲームや遊びを取り扱う新しい学問、ルドロジーの一端を紹介する。
「ゲーム」と「遊び」は何が違うのか。ゲームが面白い、あるいはつまらないとはどういうことなのか。
そのような問いへと答えると共に、ルドロジーの可能性を示す。

  • 関連エントリ

ゲームとは何か - 筑波批評社
文学フリマ『筑波批評2008秋(改め、ゼロアカ道場破り号)』に寄稿しました - God & Golem, Inc.

工学の哲学序説

筑波批評社、シノハラユウキによる、初期東浩紀哲学の可能性を問う論考。
哲学が、この世界を理解するための概念を考える営みだとして、そうした営みの中でテクノロジーへと着目していくことの重要性は、増し続けてきているのではないだろうか。
新しい哲学のあり方を模索する。

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自分の原稿について紹介してみる - 筑波批評社

「コンテンツ植民地」日本

図書館ブログとして圧倒的な人気を誇る、かたつむりは電子図書館の夢をみるかの管理人、min2fly(佐藤翔)が告発する。
日本は、何千億円もの利益をもたらすはずのコンテンツが海外へと流出するばかりの、「コンテンツ植民地」なのだ、と。

  • 関連エントリ

コンテンツ植民地! - 筑波批評社
出版不況に対して3行で物申す - かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)
『筑波批評2008秋』に寄稿しました - かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)
文学フリマ『筑波批評2008秋(改め、ゼロアカ道場破り号)』に寄稿しました - God & Golem, Inc.

ケータイ小説の作り方――ケータイ小説家・秋梨インタビュー

第3回ケータイ小説大賞はジャンル賞を受賞した秋梨が語る、ケータイ小説の作り方。
ケータイ小説の実作者の生の声。
実際に書くに当たっての技術的な話から、ケータイ小説の出版事情まで。
ケータイ小説家インタビュー! - 筑波批評社

フィクションするとは一体いかなる行為か

筑波批評社、シノハラユウキによる、ゼロアカ道場第三関門課題である1万字要約論文。
フィクションの哲学を立ち上げることを試みるための論考。
瀬名秀明デカルトの密室』論などを含みつつ、論じる対象のジャンル横断も試みる。

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自分の原稿について紹介してみる - 筑波批評社

兄弟という水平面/擬似的な垂直性

スカイ・クロラ』、『ダブルブリッド』などの作品に見られる、2000年代的なテーマを探る、シノハラユウキによる評論。

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自分の原稿について紹介してみる - 筑波批評社

フラグメンタルアプローチ

筑波批評社、塚田憲史による、ゼロアカ道場第三関門課題である1万字要約論文。
断章形式、データベース、進化論、独我論。文学から2ちゃんねるまとめサイトまで、現代日本の小説に共通して現れる想像力と創作のあり方、そして今後の可能性を考える。
塚田執筆原稿の紹介「フラグメンタルアプローチ」「&LOVE」 - 筑波批評社

&LOVE――『あたし彼女』『メルト』

ケータイ小説初音ミクオリジナルソングに見いだされる、全く新しい愛の奇跡!
フラグメンタルアプローチを駆使した、塚田憲史による評論。
塚田執筆原稿の紹介「フラグメンタルアプローチ」「&LOVE」 - 筑波批評社

第7回文学フリマ

2008年11月9日(日)
11:00〜16:00
東京都中小企業振興公社 秋葉原庁舎 第1・第 2展示室
(JR線・東京メトロ日比谷線 秋葉原駅徒歩 1分、都営地下鉄新宿線 岩本町駅徒歩 5分)アクセスについてはこちらも参照
http://bunfree.net/
筑波批評社のブースは、2階、B−62

東浩紀ゼロアカ道場第四関門

2008年11月9日に行われる第7回文学フリマにおいて、2人1組となり、
《A5版・表紙4Cカラー・本文1C96ページ・定価500円》の評論同人誌を制作し、自ら売り子となって販売せよ。
刷部数は500部とし、「東浩紀点+太田克史点+販売部数」の合計点上位3組(6人)を関門通過者とする。
http://shop.kodansha.jp/bc/kodansha-box/zeroaka/kanmon_04.html


注)
このエントリは、10月18日に書かれた。