インタビュー先をちょこっとだけ公開するよ。

10月です。あまりの時間の流れの速さに絶望し、昨日は頑張って「今日は9月31日!」と叫んでいましたが、一ヶ月前も「夏休みロスタイム」「今日は8月32日」とか言ってたのを思い出して止めました。

さて同人誌作りもいよいよ佳境です。筑波批評社もインタビューの整形や届いた原稿のチェックなどでばたばたしています。
門下生の方や他の道場破り同志の方々も同じ感じでしょうか。しかしそれにしても、10月に入ったらそろそろみんなコンテンツのネタバレしだすのかな、と密かに期待していたのですが、全然音沙汰がない。牽制モード。

なので今回は筑波批評社が先陣を切ります。

領域の架橋を目指して

結論から先に書きますと、我々が先日取ってきたインタビューの相手は、若手建築家、藤村龍至氏です。

ブログ:homepage - Round About

何故建築家? 今更建築家? 東スレのブーイングが聞こえるようですが、しかし今日、東浩紀氏のブログをチェックされた方は、この名前に見覚えがあるでしょう。

hirokiazuma.com
建築コンペ・イベント情報 --【KENCHIKU】

本日、東氏が建築系のイベントにコメンテータとして参加するようです。藤村龍至氏は、このイベントのモデレータとして参加します。

東氏と建築、と言えば、北田氏との共著『東京から考える』の中で、郊外やショッピングモール、工学主義による建築の自動化など、従来の建築的・都市論的思考を脱構築する言説が出されました。

実はあの本は建築業界の一部ではかなり物議をかもしていたのですが、東氏の「建築家とかいらなくね?」言説に対し、建築の領域からは全うな解答が出ていませんでした。同じような言説はその前の宮台―磯崎新対談でも出されていたのですが、そちらも然り、です。

そしてそれはその物議をかもした建築業界の状況と、東氏、言ってみればゼロアカ的な環境が全く断絶していたことを意味します。

しかしその断絶の中に、従来の建築的発想ではなく、建築的思考と哲学的・社会学的思考を架橋していこうとする人々がいたらどうでしょう。彼らがどちらか一方の領域にのみとどまり、光を当てられることなく状況が経過していくのは、あまりにもったいない。東氏のブログを見ても、彼は藤村氏らのことを今まで知らなかったようです。それが現状をもっともよく表しています。

そこで我々は、藤村龍至氏にインタビューを敢行しました。藤村氏は建築家でありながら、南後由和氏、柄沢祐輔氏らとともに、「批判的工学主義」というコンセプトの下、建築的な思想と哲学や社会学的な思想を架橋しよう、としている方です。

2000年以降、横断が止まったままの建築的思想と哲学的思想を、再接続する。
離れたものを、繋げる。これこそ批評の力だと思います。

ゼロアカのマージナルを掘り起こす

東浩紀を中心に盛り上がっていったゼロアカゼロ年代のアカデミズムですが、しかしそれが取りこぼしたもの、芽が出そうだったのに出なかったもの、芽が出ているのに周囲が気づいていないもの、そういったマージナルな部分を発掘していく。それが筑波批評社の今回のコンセプトです。

藤村龍至氏へのインタビューはその一環です。彼は建築家としての活動だけでなく、「Round about Journal」というフリーペーパーを発行し、建築とそれ以外の領域を架橋するための言説空間を作る試みをされています。そうした問題意識の面でも、彼はゼロアカ的に注目すべき方の1人ではないかなと考えています。

インタビューでは中心となるコンセプト「批判的工学主義」、およびその実践理論である「超線形設計プロセス」の話、また何故彼が建築とその外の領域を横断しようと考えたのか、そして「建築の自動化」とまで言われた『東京から考える』にはどう応えるのか、などを伺ってきました。たっぷり二時間のインタビューです。文フリまでまだ時間があるので、もし興味がある方は、こちらのイベントレポートがとっつきやすいので、参考にしていただければと思います。