ケータイ小説家インタビュー!

今日もシコシコ内容紹介です。こうなってくると毎回レビューを更新してくださるid:noir_kさんに申し訳なくなってきます。ありがとうございます。

本日は『ケータイ小説の作り方――ケータイ小説家・秋梨インタビュー』についてです。

ケータイ小説というと、映画化・ドラマ化もした『恋空』が圧倒的な社会的認知度を誇っています。実際、この1、2年で文芸シーンに上ってきたケータイ小説というと、『恋空』の系譜に繋がるいわゆる「純愛もの」がそのステレオタイプとして語られることが多いですね。塚田が本誌で取り上げている第三回ケータイ小説大賞・大賞受賞作の『あたし彼女』なども、大雑把にはこうしたステレオタイプの外に出ないと言えるでしょう。

こうした流れがある一方で、ケータイ小説というジャンルはもはやジャンルと言っていいのか分からないくらい、その中身は多様化しています。読者と作者が極めて近い位置にあるこの環境では、その進化の速度は圧倒的です。ステレオタイプな純愛系の作品は、既にケータイ小説という巨大な水槽を泳ぎ回る魚群の一つでしかないわけです。

今回、筑波批評2008秋号では、そうした多様化の証左として、第三回ケータイ小説大賞・ジャンル賞受賞作『僕にキが訪れる』の作者、秋梨さんへのインタビューを行いました。
秋梨さんには受賞告知の第一報の瞬間の様子から、実際に作品を書く際に心がけていること、現在のケータイ小説のトレンドなど、幅広くインタビューに応えていただきました。ケータイ小説出版業界(?)の「実のところ」もちょっと聞いちゃったりしています。載せてよかったのか若干不安ですが、そこはどうにかなる、はず。

ケータイ小説について語ったテキストは数多くありますが、ケータイ小説家に語らせたテキストは、ほとんどないと言って良いでしょう。先にも書きましたが、作者と読者が近いケータイ小説において、作者はその作品にだけ結び付けられるものではなく、読者とのコミュニケーションを通じて作品を生成する、ケータイ小説という環境全体の一つのファクターでもあります。そうした観点でも読んでいただけると、今後の批評の糧になるかもしれません。