ゲームとは何か

id:ggincさんに、紹介記事を書いていただきました。
文学フリマ『筑波批評2008秋(改め、ゼロアカ道場破り号)』に寄稿しました - God & Golem, Inc.
さて今日は、そのid:ggincこと高橋志行さんの「文芸批評家のためのLudology入門――<ゲーム>定義のパースペクティヴ」の紹介です。
Ludologyというのは、なかなか聞き馴染みのない言葉ですが、遊び・ゲームに関する学問を指す言葉だそうです。確かに最近では、ゲーム学会が立ち上がるなど、ゲームに関する研究も増えてきていると思います。
しかし、ではそのゲームとは一体何なのか、というのは非常に難しい問題でしょう。
ゲームとは何か、という問いに答えるために挙げられる先行研究として、ホイジンガやカイヨワがあげられるでしょう。さらに本論では、クロフォードやコスティキャンの名前も挙げられています。そもそも「遊びやゲームの領域には、二桁では数え切れないほどの論者・研究者がいる(いた)」とのことで、ゲーム研究というのは実はかなり広がりを見せているようです。
本論では、ラフ・コスターによるsubjectiveなゲーム定義が紹介されています。これは、ゲームとは何か、という話ではなくて、何が面白いゲームなのか、という点からゲームについて考えるという議論です。
高橋さんは、このラフ・コスターの議論を受けた上で、ゲームの楽しみ方として「変容」と「再設計」という2つのあり方があるのではないか、ということを論じています。
これらの概念は、二次創作やニコニコ動画におけるゲームの受容を分析する上で使えるのではないか、として考えられています。
今まで、オタク文化やネット文化を批評する際に使われてきたフレームの多くは、東浩紀的な文芸批評あるいはマンガ批評、もしくは情報社会論的なものだったのではないでしょうか。しかし、ゲームというものもまた大きな位置を占めているわけで、ゲーム批評・ゲーム研究のフレームワークから、こうした文化を批評し直すこともまた必要なのではないでしょうか。
本論は、その契機となりうるのではないかと思っています。
参考文献がずらりと並んだ、とてもガチな論文となっていますが、図もついていて内容は非常に分かりやすいです。